トレンドラインはもっともシンプルかつ精度抜群の分析法と言えます。
FXを始めたばかりの初心者の方に最初に学習するチャート分析手法が、「トレンドライン」と思います。
投資格言に「トレンドを友とせよ」という言葉があるように、FXで儲けるためには、相場のトレンドを見極めて、その流れに乗ることがとても重要と言われています。
為替レートが上昇トレンドのときは買い主体の取引、下降トレンドのときは売り主体の取引をすれば、トレンドが続く限り、儲かります。
これを「順張り」といいます。
上昇トレンドが明白なときに売りで勝負したり、明らかな下降トレンドで買いの取引をしても、なかなか儲かりません。
為替レートが上昇でも下降でもなく、一定の値幅を行ったり来たりする横ばいトレンドのときは、為替レートが高くなったら売り、安くなったら買う、という「逆張り」の取引をすることになります。
FXで勝つためには、トレンドを把握して、そのトレンドにぴったり合った売買戦略を採用することが必要不可欠となります。
そして、そのトレンドを把握するために引くのがトレンドラインです。
移動平均線やボリンジャーバンドのように、チャート・ツールが勝手に計算してくれるものではなく、自分自身で引くことになるので、最初は戸惑ってしまいます。
まずは、ジグザグと上下動している為替レートの中から、山となる高値、谷となる安値を探します。
上下動の結果としてできた高値同士、安値同士2点を選び、線で結んだものがトレンドラインです。
線を引くときは、ジグザグの値動き全体がすっぽりと収まるような高値同士、安値同士を結んで線を引くことが大切です。
高値同士を結んだトレンドラインは、「レジスタンスライン(上値抵抗線)」と呼びます。
安値同士を結んだ線は「サポートライン(下値支持線)」です。
為替レートが、レジスタンスラインとサポートラインに挟まれた流れに沿って値動きしている間は、トレンドが続いていると判断します。そのトレンドに沿った売買を心がけます。
上昇トレンドなら、為替レートがサポートライン近辺まで下がったら買い、レジスタンスライン近辺まで上がったら利益確定、という売買戦略になります。
サポートライン付近で買ったものの、その後、為替レートがサポートラインを突き抜けて下落したときは、上昇トレンド自体に変化が生じたと考えて損切りします。
どこで新規売買して、どこで利益確定や損切りすればいいかが一目瞭然に分かる点も、トレンドラインの魅力といえます。
トレンドラインを引くことで、ある一定期間続いたトレンドが変化したり終わったりする瞬間をとらえることもできます。
たとえば、上昇トレンドをキープしていた為替レートが下値の支えになっていたサポートラインを割り込んで下落した場合は、下降トレンド入りが濃厚になります。つまり、上昇トレンドにおけるサポートライン割れは売りシグナルになります。
反対に、為替レートが上値の壁だったレジスタンスラインを超えたら、上昇トレンドが加速した状態です。もし、買いポジションを持っていたら利益確定せず、急上昇に乗ってさらなる利益を狙います。上昇の勢いが強くなったと判断して、新たに買いで勝負する戦略も考えられます
トレンドラインは、移動平均線より売買シグナル点灯が早く、未来予想にも最適です。
トレンドラインはとてもシンプルですが、移動平均線や一目均衡表に比べて反応が早く、MACDやRSIなどオシレーター系指標にありがちな強いトレンドでのダマシが少ない点も魅力です。
ただし、サポートラインをいったん割り込んだものの、ふたたび上昇に転じたり、下降ではなく横ばいトレンドになったり、トレンドラインにも当然、ダマシはあります。
その場合は、新しくトレンドラインを引き直して、今の為替レートがどのようなトレンドに移行したかを確かめる必要があります。ダマされたからといって諦めるのではなく、ふたたびトレンドラインを引き直して新たな値動きを観察することが大切と思われます。
移動平均線やボリンジャーバンドと違い、今も有効に機能しているトレンドラインを未来のほうまで伸ばしていくことで、「もし現在のトレンドが続くなら、将来為替レートはこうなるはず」といった未来予想がしやすい点もトレンドラインの魅力といえます。
さらに、ほかのテクニカル指標と組み合わせれば、より的確な売買判断を下すことができます。
よく使われるのが、トレンドラインを新規売買に使い、相場の過熱感を測るオシレーター系指標を決済シグナルに使う手法と言われています。