RSIは「値幅」に注目した指標。相場の勢いを測るのに最適な指標です。
オシレーター系指標のなかで、もっともポピュラーなRSIについて取り上げます。
オシレーターは英語で「振り子」を意味し、「上か下、一方向に行き過ぎた動きはやがて修正される」という考え方に基づいています。
そのため、相場が買われすぎ・売られ過ぎの過熱状態になったあと、逆向きの方向に転じる瞬間をとらえて、逆張りやトレンド転換を狙うのが基本戦略になります。
RSIの計算式は、
n日間の値上がり幅÷(n日間の値上がり幅+値下がり幅)
前日の終値に比べて当日の終値が高ければ(つまり、当日のローソク足が陽線なら)値上がり幅、低ければ(ローソク足が陰線なら)値下がり幅にカウントします。
為替レートが値動きした「値幅」に注目し、そのかなに占める上昇の割合を求めることで、買いが強いのか、売りが強いのかを判断する指標です。判断の根拠が値幅=上昇や下降の幅を基準にしている点が、為替レートそのものに注目した移動平均線などとは異なる点です。
そのため、「相場の振幅=相場の勢い」をすばやく察知できます。
RSIの一番ポピュラーな使い方は、
RSIが70~80%以上になったら買われ過ぎ→売り
RSIが20~30%以下になったら売られ過ぎ→買い
というものです。
また、
RSIは単独ではなく、組み合わせてつかべきチャートですが、その相手としては移動平均線のほかに、ボリンジャーバンドも有効です。
RSIは値幅、ボリンジャーバンドは標準偏差値という、まったく違ったアプローチで、相場の行き過ぎを察知します。
● RSI80%越え、ボリンジャーバンド+2σ越え→売り
● RSI20%割れ、ボリンジャーバンド-2σ割れ→買い
というように、両者のシグナルが重なったところで逆張りする手法を使うと、予想の精度を高めることができるしょう。
しかし、上昇、下降を問わず、強いトレンドがある相場では、RSIが100%や0%近辺にぺったりと張りついてしまい、使いものにならなくなります。
RSIは単独で使わないで、移動平均線などと併用して使うことがベターと言えます。
さらに、「70%以上なら買われ過ぎ」「30%以上なら売られ過ぎ」と単純に判断するのではなく、「70%以上の買われ過ぎゾーンからRSIが失速下落した瞬間」「30%以下の売られ過ぎゾーンから反転上昇が始まった瞬間」をとらえば売買を心がける必要があります。
短期売買の場合は、どのような時間帯に使うかも重要です。
ロンドン市場が始まる午後4~5時以降や、アメリカで経済指標が発表されてNY株式市場がオープンする午後9~12時といった時間帯は、強いトレンドが発生する順張りタイムです。
こういったとき、逆張り指標といえるRSIは使い勝手が悪くなります。
反対に、欧米が深夜になる午前9時~午後3時ぐらいにかけての日本市場は、相場が横ばいで推移することが多い時間帯です。
落ち着きのあるレンジ相場で、為替レートの細かい上下動をこつこつ利益にしていくのに打ってつけの指標がRSIといえます。
為替レートとRSIの逆行現象=ダイバージェンスに注目
RSI自体にトレンドラインを引くことで、相場の方向性を見る手法も一般的です。
RSIは逆張り指標といわれていますが、RSI自体が右肩上がりなら強いトレンド、右肩下がりなら強い下降トレンドというように、トレンド判断に使うこともできます。
その際は、RSI自体にトレンドラインを引くと、方向性がより鮮明になります。
実際の値動きがレンジ相場のときは、RSIもレンジの範囲内で動き、トレンドが生まれると、RSIもその方向に動き出すことがわかります。
ローソク足とRSIの方向性が逆向きになることを「ダイバージェンス」といい、ローソク足のトレンドがそろそろ転換するシグナルになります。
長い期間、上昇や下降のトレンドが続いたあと、そこから大きくトレンドが方向転換する場合、RSIのダイバージェンスがそれより早く起こります。
相場の天井や大底をとらえる手法として活用できます。