私の最も多用するインジケーターがこの移動平均線です。
移動平均線は常にチャートに表示しています。
移動平均線は、ある一定期間の為替レートの各終値を平均化して、その数字を結んでいった線のことをを言います。たとえば5日移動平均線の場合、
4日前の終値 84.86
3日前の終値 85.48
2日前の終値 84.91
1日前の終値 84.77
当日の終値 84.59
だとすると、各終値を足して5で割った84.922が当日の移動平均値になります。
さらに、翌日の終値が83.56だったとすると、4日前の終値84.86を削除し、新たにこの終値を足したものを5で終わって、移動平均値84.662を算出します。
このように一定期間の中で、一番古い終値を削って、新しい終値を足して、次々と移動平均値を算出し、その値を結ぶことで「移動平均線」を描画していくのです。
移動平均線の着目ポイントはいろいろありますが、次の3つが重要となります。
● 移動平均線の傾きから、為替レートのトレンドを判断する。
● 移動平均線と現在の為替レートの位置関係から、為替レートの勢いを見る。
● 複数の期間の移動平均線を描画することで、為替レートのトレンドを精査する。
移動平均線は日々、上下動する為替レートの平均値ですから、より長い目で見た、滑らかなトレンドや趨勢を把握することができることになります。
また「移動平均線と為替レートの位置関係」も重要です。
移動平均線が為替レートの平均値であるため、両者は”つかず離れず”の位置関係を保ちます。値動きの乏しい相場が続くと、為替レートと移動平均線はもつれ合う状態になります。
値動きが急変動した場合は、為替レートがいったん移動平均線から大きく離れるものの、その急変動も平均化されていくので、やがて、移動平均線のほうが為替レートのほうに追いついてきます。
逆に、急変動が一過性のものであれば、その変動が平均値に飲み込まれて、為替レートが移動平均線のほうに吸い寄せられていく動きになります。
両者の位置関係を整理すると、
● 為替レートが移動平均線より上にあると相場は強い。
● 下にあると弱い。
● 為替レートが移動平均線と離れ過ぎた場合、為替レートは平均線のほうに戻ろうする動きを示しやすい。
● 移動平均線を上から下、下から上に抜けた瞬間、為替レートに新しいトレンドや勢いが生まれる可能性が高い。
といったものがあります。
また、複数の移動平均線を描画して、そのクロスを見ることで、トレンドの転換点を図る手法も非常にポピュラーです。
期間の長い移動平均線を期間の短い移動平均線が下から上に抜けたら「ゴールデンクロス=買いシグナル」、上から下に抜けたら「デッドクロス=売りシグナル」になります。
5営業日=1週間など期間設定が実はとても重要です。
移動平均線では平均値を算出するための「期間設定」も実はたいへん重要です。
私は、中長期のトレンドを見る際、200日移動平均線をたいへん重要視しています。
いろいろ試してみましたが、確かに200日移動平均線は良く効いています。
休日を除いた為替市場の年間営業日が約200日程度だということとも関係しているのかもしれません。
そのせいもあり、世界中の投資家が200日移動平均線に注目する傾向が強いのも、200日移動平均線がトレンドの把握やその変化を察知するのに非常に便利で”当たりやすい”指標である理由といえるでしょう。
200日移動平均線が相場のトレンド判断に非常に有効だというのは、長年の多くのトレーダーの経験によって生まれた知恵といえます。
ただ、どの設定期間が為替レートの現在をうまくとらえているか、自分なりにいろいろ設定期間を変えて試してみる必要もあります。
日足チャートの場合、5日や20日という期間設定がポピュラーですが、これも1週間の営業日が5日間、1ヵ月の営業日がおよそ20日間であることに由来しているといえるでしょう。
当然、移動平均値の算出期間が短くなれば、為替レートに対する感応度は高くなるものの、だましが増えます。反対に、算出期間が長くなれば、だましは少なくなるものの、反応が鈍すぎて使い物にならない可能性が高まります。
とはいえ、自分なりに設定期間を調整するのもなかなか難しいものです。
「みんなが見ているテクニカル指標ほどよく当たる」というのも事実です。
私は、個人的には、短期売買では5日移動平均線に注目して、為替レートが5日移動平均線を抜けたら買い、割れたら売りという単純な手法が通用しやすいと思っています。
ちなみに、移動平均線の期間は、ローソク足の本数で設定します。
たとえば、設定期間を「5」にした場合、日足チャートなら5日、週足チャートなら5週、1時間足チャートなら5時間、5分足チャートなら25分という期間の平均値になります。